環境

建築物LCAコンサルティング

建築物LCAの背景

EUをはじめ海外では、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、建築物のLCAに関する規制が進んでおり、日本でも2028年を目途に建築物LCAの制度化が検討されています。
建築物においても運用段階での省エネに加え、企画・設計段階でのカーボンへの配慮、建設段階での建材選定や施工手法の工夫といった、各段階に応じた排出量削減が重要視されています。
こうした背景のもと、建物の環境負荷を設計の初期段階から把握し、合理的に低炭素化を進めるための手法として、LCA(ライフサイクルアセスメント)が活用されています。

建築物LCAに関する日本国内のロードマップ
出典:建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議
   「建築物のライフサイクルカーボンの削減に向けた取組の推進に係る基本構想」
   (2025年4月, p.13, 図3「今後の検討/施策のロードマップ」)を基に作成
建築物LCAに関する国際的な動向
出典:国土交通省「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会」
   第1回資料4「検討事項と論点について」(2025年6月, p.8)を基に作成

建築物LCAとは

建築LCAとは

建築物のLCA(ライフサイクルアセスメント)とは、建物の設計・建設・運用・解体に至るまで、ライフサイクル全体におけるCO₂排出量を定量的に評価する手法です。
当社は、建築分野の省エネ・環境コンサルティングの知見を活かし、建築物LCAの導入から算定、改善提案までを一貫してサポートします。

サービス内容

LCAコンサルティング

省エネとLCAの一括提案で計画段階から低炭素化を支援

建築環境に精通した専門家が、省エネ設計(ZEB/ZEH等)とLCAの視点を組み合わせた一括提案により、計画初期から環境負荷の低減とエネルギー性能の最適化を同時に支援します。
初期段階での統合的なアプローチにより、持続可能な建築の実現を効率的に推進します。

LCAを活用したグリーンビルディング認証の取得支援

国際的な認証制度であるLEED v5で必須要件となったエンボディドカーボンの削減評価に対応し、
LCAを組み込んだグリーンビルディング認証の取得を支援します。
LCA関連の補助事業申請への支援にも対応します。

J-CAT®・One Click LCA(日本版)に対応したLCA算定

設計図書や工事内訳書等の数量情報を基に、建物のライフサイクル全体にわたるCO₂排出量を定量的に評価します。
J-CAT® / One Click LCA に対応し、アップフロントカーボンのみ、ホールライフカーボンまで等、プロジェクトの特性や目的に応じて柔軟な算定支援が可能です。

LCA×BIM連携(準備中)

BIMと連携したLCAの算定を支援。

EPD作成支援(準備中)

EPD(環境製品宣言)の取得に向けたデータ整備と申請の支援。

LCA教育支援(準備中)

設計や事業に携わる方向けの研修プログラム等。

相談事例

事例1

事務所とホテルのアップフロントカーボン算定事例

企業種別
不動産ディベロッパー様
建物用途
事務所ビル/宿泊施設/S造
ご要望内容
自社物件における建設時のGHG排出量を確認したい。
サポート内容
アップフロントカーボン(UC)の算定。
使用ツール
建設時GHG排出量算定ツール((一社)不動産協会)

事例2

異なる用途の建築におけるGHG排出量の比較分析

企業種別
不動産ディベロッパー様
建物用途
事務所ビル/宿泊施設/物流倉庫/S造
ご要望内容
自社物件における用途別の炭素排出量の傾向を確認したい。
サポート内容
アップフロントカーボン(UC)、ホールライフカーボン(WLC)を算定し、GHG排出量の影響度および比較結果について報告書として提示した。
使用ツール
J-CAT 標準算定法(IBECs)

事例3

将来のLCA導入を見据えたGHG排出量のケーススタディ(物件比較・ツール比較)

企業種別
分譲マンションディベロッパー様
建物用途
分譲マンション3棟/RC造
ご要望内容
将来的な自社物件でのLCA導入を見据え、ケーススタディとして3物件のGHG排出量を物件間およびツール間で比較したい。
サポート内容
算定範囲ごと(UC、OC、EC、WLC)、ツールごとの算定と結果の比較。資材の影響度の視覚化と材料代替による効果の検証を行った。
使用ツール
J-CAT 標準算定法および詳細算定法(IBECs)/One Click LCA(日本版)

事例4

マンションにおけるアップフロントカーボン削減提案

企業種別
分譲マンションディベロッパー様
建物用途
分譲マンション/RC造
ご要望内容
One Click LCAを用いて、自社物件の建設時におけるGHG排出量を算定し、削減案の提案も行ってほしい。
サポート内容
アップフロントカーボン(UC)を算定した上で、CO₂排出量への影響が大きい資材を低炭素資材に代替した場合のシナリオを含め、報告書として提示した。
使用ツール
One Click LCA(日本版)

事例5

建て替えと比較した改修時のEC評価

企業種別
総合建設会社様
建物用途
工場/S造
ご要望内容
工場を改修した場合に、建て替えと比較してエンボディドカーボン(EC)の削減効果を把握したい。
サポート内容
改修案と建替え案におけるエンボディドカーボンの比較検証を実施した。不足する数量は既存図面を基に積算した。
使用ツール
J-CAT 標準算定法(IBECs)

事例6

建築関連補助金申請に対応したLCA算定支援

企業種別
建築設計事務所様
建物用途
公共建築物(非住宅)/RC造
ご要望内容
ZEB関連補助事業に申請するためのLCCO2算定と削減案の検討を行ってほしい。
サポート内容
補助事業の要件を整理し、ホールライフカーボン(WLC)の算定を実施した。
使用ツール
J-CAT 標準算定法(IBECs)

事例7

ホテル建設プロジェクトにおけるGHG排出量とICPの算定

企業種別
建築設計事務所様
建物用途
宿泊施設/木造・RC造
ご要望内容
ホテルの建設および運用にかかるインターナルカーボンプライシング(ICP)を出したい。
サポート内容
建設時および運用時における温室効果ガス(GHG)排出量をLCAにより算定し、それに基づいてプロジェクト全体のインターナルカーボンプライシング(ICP)を算定した。
使用ツール
J-CAT 簡易算定法(IBECs)

よくあるご質問

よくあるご質問はこちらからご確認ください。

お見積りはもちろん、メリットの有無やアドバイスまで行っております。
お気軽にご相談ください!

LCA関連用語集

LCA(ライフサイクルアセスメント)

製品やサービスのライフサイクル全体(資源採取、製造、流通、使用、廃棄)を通じたさまざまな環境影響(温室効果ガス、水使用、生態系への影響など)を定量的に評価する手法。
国際規格ISO 14040(原則及び枠組み)、14044(要求事項及び指針)により定義されている。
建築分野では、建築物を構成する各部材・設備の製造・建設・使用・解体に至るプロセスにおいて、CO₂の排出を含む環境負荷を算定・評価するために活用されている。

CFP(カーボンフットプリント)

製品やサービスのライフサイクル全体を通じて排出された温室効果ガス(GHG)を、CO₂換算量(kg-CO₂e)で表したもの。
LCA手法を基にGHG排出量に特化して評価する指標で、特に製品レベルでのGHG排出量の可視化や、環境製品宣言(EPD)において活用される。
CFPは、LCAの手法を用いながらも、評価対象を温室効果ガス(GHG)の排出量に限定した指標であり、LCAの一部として位置づけられる。

GWP(地球温暖化係数:Global Warming Potential)

各温室効果ガス(GHG)の地球温暖化への影響度を、二酸化炭素(CO₂)を基準(GWP=1)として相対的に示した係数。
LCAでは、各GHGの排出量(例:kg-CH₄やkg-N₂O)にGWPを乗じて、温暖化への影響をCO₂に換算した量(CO₂e:CO₂ equivalent)を算出し、kg-CO₂eなどの単位で総排出量として評価する。
計算式:CO₂換算量(CO₂e)=GHG排出量 × GWP

GHG(温室効果ガス:Greenhouse Gas)

二酸化炭素(CO₂)をはじめとする地球温暖化の原因となる気体の総称。
LCAでは、これらのガスの排出量が気候変動への影響評価(インパクトカテゴリ)として用いられる。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)では、以下の7種類の温室効果ガスを対象としている。
・二酸化炭素(CO₂)
・メタン(CH₄)
・一酸化二窒素(N₂O)
・ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)
・パーフルオロカーボン類(PFCs)
・六フッ化硫黄(SF₆)
・三フッ化窒素(NF₃)

カーボンニュートラル

温室効果ガス(GHG)の排出量と吸収量を均衡させて、その合計を実質的にゼロにすること。
「CN」と省略する場合もある。

LCCO₂(ライフサイクルカーボン)

建物のライフサイクル全体(製造、建設、運用、解体)の各段階で排出される二酸化炭素(CO₂)を定量的に評価する指標。
建築物LCAの中心的な評価対象。

アップフロントカーボン

建設時に排出されるCO₂のことで、資材製造・輸送・施工などに伴う排出を指す。
LCAでは建設段階の環境負荷評価に用いられる。
「UC」と省略する場合もある。

エンボディドカーボン

建材の製造、輸送、建設、解体までにかかる二酸化炭素排出量のこと(アップフロントカーボンを含む)。
建築物の総排出量の中で近年注目されている。
「EC」と省略する場合もある。

オペレーショナルカーボン

建物の使用期間中に排出されるCO₂のこと。
空調、照明、電力使用などの運用エネルギーが主な原因。
「OC」と省略する場合もある。

ホールライフカーボン

建物のライフサイクル全体(建設〜運用〜解体)にわたるCO₂排出量の総和。
エンボディドカーボンとオペレーショナルカーボンの両方を含む。
「WLC」と省略する場合もある。

排出原単位

特定の活動や製品の単位あたりに排出される温室効果ガス(CO₂など)の量。
LCAでは、建材やエネルギーの使用量1単位あたりのCO₂排出量などが「排出原単位」として用いられる。
CO₂排出量は、活動量 × 排出原単位 によって算定される。
排出原単位には、大きく分けて「産業連関分析」(経済統計に基づくマクロ的推計)と、「積み上げベース」(個別の工程や構成要素からのミクロ的積算)の2種類がある。

J-CAT®

建築物ホールライフカーボン算定ツール(J-CAT:Japan Carbon Assessment Tool for Building Lifecycle)。
ゼロカーボンビル(LCCO2ネットゼロ)推進会議のもとで開発された、建築物のライフサイクル全体を通じたCO2をはじめとするGHG(温室効果ガス)排出量の算定ツール(算定ソフト及びマニュアル)で、「J-CAT®」は(一財)住宅・建築SDGs推進センターの登録商標となっている。
排出量原単位は産業連関表に基づく(一社)日本建築学会の「AIJ-LCA 原単位データベース」を基本として、資材数量ベースの算定が可能。算定ソフトはExcelで、使用登録を行うことでダウンロードが可能。
3つの算定法(簡易算定法、標準算定法、詳細算定法)がある。
参考リンク 建築物ホールライフカーボン算定ツール(J-CAT®)/IBECs

One Click LCA

建築LCAを効率的に行える国際的なLCAツールで、AIを搭載したソフトウェア・プラットフォーム。
ISOの国際規格に準拠しており、170か国以上で使用されている。
LEED、BREEAM等の認証要件に準拠し、BIMデータ連携、EPD取得の資材を利用した精緻な算定が可能。
建築、インフラ、改修プロジェクトおよび製品の環境影響を算出・削減し、循環性、ライフサイクルコスト、生物多様性の評価にも対応。

EPD(環境製品宣言:Environmental Product Declaration)

各製品の環境影響を、ISO 14025およびLCA手法(ISO 14040/44)に基づいて定量的に評価・記述し、ISO14025に基づく第三者による検証を経て公開される環境情報。
製品の原材料調達、製造、輸送、使用、廃棄までのライフサイクルにおける環境負荷が記載されている。
LCCO₂(ライフサイクルCO₂)算定において、EPDに記載されたCO₂排出量を使用することで、より正確で製品固有の環境影響を反映した算定が可能となる。
ページの上部へ戻る