なんのために避難安全検証法を適用するのか、避難安全検証法を適用することによってどのようなメリット・デメリットが発生するのか、それらについて、用途毎の違い等も含めて詳しく解説します。
▼避難安全検証法の概要についてはこちらをご覧ください
「避難安全検証法とは」
設計自由度の向上
イニシャルコストの削減
ランニングコストの削減
そのため、豊富な実績と経験に基づいて業務を行う当社の避難安全検証コンサルティングを
ご活用することをおすすめします。
当社では、自社開発をした「DiPS」というソフトを使用し、迅速で正確な対応を行うことができます。
プランの変更があった場合でも効率的かつスピーディなレスポンスでご対応いたします。
用途による違いについては、下記の「用途別のメリット・デメリット」を参照下さい。
各物件毎にどのような対策が想定されるかをお知りになりたい場合はぜひ簡易検討をご活用ください。
物販店舗
工場・倉庫・物流センター
事務所
劇場・興行場
集合住宅・ホテル
病院・児童福祉施設
改修工事(参考)
評価:◎ (極めて有効)
評価:◎ (極めて有効)
評価:○ (有効)
評価:△ (ケースによっては有効)
評価:× (あまり有効ではない)
評価:- (避難安全検証法(ルートB1)は適用不可)
ルートB1では自力で避難することが困難であると考えられる用途の場合は、検証法が適用できません。
ただし、ルートB2では適用できる可能性があります。
評価:○ (有効)
当社では、建物の新築時や改築時に自由度を高めるために活用される避難安全検証法に関するコンサルティングを行っています。こちらのページでは、避難安全検証法に関する内容をご説明します。
平成12年6月の建築基準法の改正に伴い、建築物の避難安全に関して従来の仕様規定に加えて新たに性能規定が導入されましたが、その性能規定の手法の一つが「避難安全検証法」になります。
避難安全性能を有していることが確認できれば、建築基準法の避難関係規定の一部を適用除外することができ、イニシャルコスト・ランニングコストの削減や設計自由度を確保した計画を行うことが可能になります。
従来用いられていた仕様規定ではなく、避難安全検証法に沿った性能規定だと、どのくらい自由度を確保した設計ができるのでしょうか。こちらではその具体例を2つご紹介します。
排煙窓は什器のレイアウトの制約になってしまうことがよくあります。
また定期的にメンテナンスを行い、報告する義務もあります。
そのような排煙窓を無くすことでレイアウト自由度の向上や、メンテナンスコストを抑えることができます。
更に排煙垂れ壁を減らすこともできるため、すっきりした空間を実現することができます。
規定通りに出入口を設置しても、出入口の前に物が置かれてしまうと、結局火災が起きた際などに避難口として使うこともできず、非常時に混乱を招きかねません。
このように機能していない出入口を減らすことで、すっきりした設計を実現することができます。
項目 | 条 | 項 | 規定の概要 | 区画避難安全性能を有するもの | 階避難安全性能を有するもの | 全館避難安全性能を有するもの |
---|---|---|---|---|---|---|
防火区画 | 112 | 7 | 11階以上の100m²区画 | ─ | ─ | ○ |
11 | 竪穴区画 | ─ | ─ | ○ | ||
12 | 竪穴区画 | ─ | ─ | ○ | ||
13 | 竪穴区画 | ─ | ─ | ○ | ||
18 | 異種用途区画 | ─ | ─ | ○ | ||
避難施設 | 119 | 廊下の幅 | ─ | ○ | ○ | |
120 | 直通階段までの歩行距離 | ─ | ○ | ○ | ||
123 | 1 | 避難階段の構造 第1号 耐火構造の壁 第6号 防火設備 |
─ | ─ | ○ | |
2 | 屋外避難階段の構造 第2号 防火設備 |
─ | ─ | ○ | ||
3 | 特別避難階段の構造 第1号 付室の設置 第2号 排煙設備の設置 第12号 付室などの面積 |
─ | ○ | ○ | ||
第10号 防火設備 | ─ | ○ | ○ | |||
第3号 耐火構造の壁 | ─ | ─ | ○ | |||
124 | 1 | 物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅 第2号 階段への出口幅 |
─ | ○ | ○ | |
第1号 避難階段等の幅 | ─ | ─ | ○ | |||
屋外への出口 | 125 | 1 | 屋外への出口までの歩行距離 | ─ | ─ | ○ |
3 | 物品販売業を営む店舗における屋外への出口幅 | ─ | ─ | ○ | ||
排煙設備 | 126-2 | 排煙設備の設置 | ○ | ○ | ○ | |
126-3 | 排煙設備の構造 | ○ | ○ | ○ | ||
内装制限 | 128-5 | 特殊建築物等の内装(第2、6、7項および階段に係る規定を除く) 自動車車庫等、調理室等 | ○ | ○ | ○ |
避難安全検証法には、区画避難安全検証法と階避難安全検証法と全館避難安全検証法があります。この中で、告示(509・510・511号)で定められた計算方法を用いるものをルートB1、告示(474・475・476号)で定められた計算方法を用いるものをルートB2と呼び、告示で定められた以外の高度な方法を用いるものをルートCと呼びます。これに対し、従来の仕様基準に適合させる方法をルートAと呼びます。
適用する対象は「建築物内の区画」であり、区画避難安全性能が満たされれば、その当該区画のみ一部の規定を除外することができ、ルートBの検証において、建築基準法施行令第128条の7及び令和2年国土交通省告示第509号・令和3年国土交通省告示第474号に定められた方法に基づいて行われます。
この手法は令和2年の法改正に伴い追加された検証法の種類になります。
適用する対象は「建築物の一つの階」※であり、階避難安全性能が満たされれば、その当該階のみ一部の規定を除外することができ、ルートBの検証において、建築基準法施行令第129条及び令和2年国土交通省告示第510号・令和3年国土交通省告示第475号に定められた方法に基づいて行われます。
詳細な計算方法は、「2001年版避難安全検証法の解説及び計算例とその解説」の内容に基づいて行われます。ただし、ルートCの場合は大臣認定を取ることで、それらの内容と異なる手法を用いることもできます。
※同じ建物内であっても、ある階はルートBで検証を行い、それ以外の階はルートAやルートCで検証を行うことは可能です。同様に、ある階は区画避難安全検証法で検証を行い、それ以外の階は階避難安全検証法をで検証を行うというようなことも可能です。ただし原則として同フロア内で異なるルート(一部分だけをルートAやルートCとする)を混在させることはません。
適用する対象は「建築物全体」であり、全館避難安全性能が満たされれば、建築物全体において一部の規定を除外することができ、ルートBの検証においては、建築基準法施行令第129条の2及び令和2年国土交通省告示第511号・令和3年国土交通省告示第476号で定められた法令に基づいて行われます。
※全館避難安全検証を行う場合は、必然的に全ての階が全館避難安全検証の対象となります。
ルートA(仕様規定) | 従来の避難関係規定(仕様基準)に適合させる方法 |
---|---|
ルートB1(性能規定) | 告示(509号・510号・511号)で定められた避難安全検証法を利用する方法 |
ルートB2(性能規定) | 告示(474号・475号・476号)で定められた避難安全検証法を利用する方法 |
ルートC(性能規定) | 高度な検証法を用いるため、国土交通大臣の認定が必要な方法 |
主要構造部が耐火構造、準耐火構造であるか、若しくは不燃材料で造られた建築物に限定されている。
ルートB1においては、自力で避難することが困難である用途の階または建築物(病院、診療所および児童福祉施設など)は適用対象外としている。
※「避難安全検証法(時間判定法)の解説及び計算例とその解説」に記載されていない用途の建築物は、一部の確認申請機関によっては、ルートBを適用できない場合があります。
避難安全検証法の計算書は、確認申請時の添付図書となるため、確認申請時にあわせて、提出する必要があります。(計画変更届や確認申請が必要な増・改築工事の場合も同様です。)
※避難安全検証法を適用した物件の場合、計算結果が変更になってしまうものは、原則として計画変更になります。
一般的に軽微な変更としている変更内容でも、軽微な変更となるか計画変更となるかの判断は審査機関に確認が必要です。
避難安全検証法は、建物内で発生する火災から避難者が安全に避難できることを計算により確かめる性能設計になります。従来の避難関係規定との大きな違いの一つとして、数式を用いて検証しなければならない点が挙げられるかと思いますので、このページではその辺の手順や数式の考え方について解説します。
避難安全検証法を適用させる際に必要となる検証内容
各検証項目のイメージ
避難安全検証法で用いる計算式
計算具体例
避難安全検証法を行う際に必要となってくる検証項目として、下記の4種類の検証項目が挙げられます。
[A] 居室避難の検証
→当該居室にいる人が火災時に他の部屋まで避難できるかどうかの検証
[B] 区画避難の検証
→当該区画にいる人が火災時に地上又は別区画まで避難できるかどうかの検証
[C] 階避難の検証
→当該階にいる人が火災時に地上又は直通階段まで避難できるかどうかの検証
[D] 全館避難の検証
→当該建物にいる人が火災時に地上まで避難できるかどうかの検証
「区画避難安全検証法」又は「階避難安全検証法」においては、当該区画又は階の全ての居室に対して居室避難の検証を行い、更に当該区画の区画避難又は当該階の階避難の検証を行う必要があります。
「全館避難安全検証法」においては、当該建物の全ての階に対して階避難安全検証法の検証を行った上で、当該建物の全館避難の検証を行う必要があります。
居室避難・区画/階避難・全館避難の各々の検証項目毎に求める必要がある項目として、下記の4種類の時間が挙げられます。
① 避難開始時間
(火災が起きたことに気付いて逃げ出すまでの時間)
② 出口に達するまでの歩行時間
(逃げ始めてから出口に到達するまでの時間)
③ 出口の通過に要する時間
(出口のドア廻りで人が滞留することによって停滞してしまう時間)>
④ 煙等降下時間
(煙が天井から溜まり始めて、一定の位置に達するまでの時間)
各検証項目毎に各々の時間を求め、避難終了時間(①+②+③) が ④煙降下時間 を超えないことの検証を行う必要があります。
<
居室の避難終了時間 ≦ 居室の煙等降下時間 ⇒ O.K.
区画の避難終了時間 ≦ 区画の煙等降下時間 ⇒ O.K.
階の避難終了時間 ≦ 階の煙等降下時間 ⇒ O.K.
全館の避難終了時間 ≦ 全館の煙等降下時間 ⇒ O.K.
①居室の避難開始時間
(火災が起きたことに気付いて逃げ出すまでの時間)
②居室の出口に達するまでの歩行時間
(逃げ始めてから出口に到達するまでの時間)
③居室の出口の通過に要する時間
(出口のドア廻りで人が滞留することによって停滞してしまう時間)
■ 居室の避難終了時間
tescape = tstart + ttravel + tqueue
④居室の煙等降下時間
(煙が天井から溜まり始めて、一定の位置に達するまでの時間)
②階の避難開始時間
(火災が起きたことに気付いて逃げ出すまでの時間)
③階の出口に達するまでの歩行時間
(逃げ始めてから出口に到達するまでの時間)
③階の出口の通過に要する時間
(出口のドア廻りで人が滞留することによって停滞してしまう時間)
■ 階の避難終了時間
tescape = tstart + ttravel + tqueue
④階の煙等降下時間
(煙が天井から溜まり始めて、一定の位置に達するまでの時間)
※避難経路等に関係なく、全ての煙伝播経路の中で最も短い煙降下時間が対象になります。
※上記はあくまで一例です。
プランによって必要な対策は変わります。
※上記はあくまで一例です。
プランによって必要な対策は変わります。
※上記はあくまで一例です。
プランによって必要な対策は変わります。
※上記はあくまで一例です。
プランによって必要な対策は変わります。